Patagonia

Patagoniaのプロセールスプログラムに登録いただいた。
これはアウトドアや自然保護活動などを行うアスリート、団体に向けて特別価格での販売というかたちで
patagoniaが活動をサポートするプログラム。
実はこの旅の前にこのプログラムに企画書とともに応募したんだけれど、最初は良いお返事もらえんかった。
けれどもあらためて審査をしてくださって、この度プロセールス登録のご連絡をいただいた。

以前お断りのご案内をしていたプロセールスプログラムですが、改めてご検討をさせていただきました結果、

是非登録をさせていただきたいと思います。

プログラムの基準や様々な観点から一度お断りをしてしまったことお許しください。


とプロセールスの案内に書き添えてあった。
ぼくがpatagoniaのファンだということもあるけれど、けれどもこうして世界企業が人の温度を感じる
やりとりをしてくださることにあらためて感動を覚えた。

ぼくがpatagoniaと繋がり活動をやっていきたいと思ったのはちょうど1年前くらいだったろうか。
大きなきっかけとなったのは、ある会合でパタゴニア日本支社長の辻井隆行さんのお話をうかがったときのこと。
彼はpatagoniaの企業理念とともに、現在パタゴニア日本支社が関わるある環境保全活動について紹介してくださった。

patagoniaの企業理念をぼくなりにまとめるとこう。
「ビジネスを通じて環境問題の解決に貢献する」
つまりビジネスをして、環境に影響を与えてしまうからその恩返しを。ということではない。
環境問題の解決のためにビジネスモデルを持ち活動していこう。ということ。

きれいごとだと思われるだろう。売名行為やんと言われたらpatagonia社員でもなんでもないぼくには何も言えない。
けどね、世界企業がこんなアホみたいなことを言って、実際にそこに対するアプローチをして、そこにはファンがいる。
全員に届けられる、納得してもらえる理念や行動ってないけど、ぼくはpatagoniaが好きだ。

ダウンジャケットのダウン(羽毛)には多く、自然に抜け落ちたものではなく生きたまま羽をむしり取られた羽毛が使われている。
patagoniaは自社のダウン製品に使われるダウンがどこでどうして作られているかを全て見えるかたちで公開した。
その他にも、リサイクルダウン、フリース、環境負荷の少ないものづくり改革などおもしろいことたくさんやってる。

環境保護のためなら環境保全活動だけやったら?と言われそうだが、辻井さんの言ってた【ここ】がぼくには「なるほど」となった。
「patagoniaは利益を生み業績を上げることも目標としています。なぜなら。僕らがこの環境に対する負荷の少ないやり方で
ものづくりをして、その上で企業としてブランディングができ、売り上げをあげることができれば、他の企業がマネをしてくれるからです。」
それは、必ず地球規模で一石投じるきっかけにはできるだろうというわけだ。

たしかにその通りだ。消費者には選ぶ権利がある。
安いもの。良いもの。コストパフォーマンスがいいもの。体にいいもの。環境にやさしいもの。
そんななかでpatagoniaは確実にpatagoniaの理念に賛同する消費者をかかえている。
「patagoniaだったら過酷な労働環境では作られてないはず」「patagoniaだったら少しでも環境によいだろう」
モノはもちろん良いものだけれど、そうやって買ってくださる方がいて企業が大きくなっていくこと。
これっておもしろいビジネスモデルだなーと思う。
お客さんに企業が合わせるのではなく、企業にお客さんがついてくるのだ。

その時のお話にはこんな話もあった。
「patagoniaは古着の購入も提案しています」
Yahoo! JAPANのヤフオクと連携して、patagoniaのサイトからオークションサイトをリンクして、古着の購入を
提案していたというのだ。こんなことやっちゃうのがおもしろすぎる。古着の売買でpatagoniaには1円も落ちないのに。


そしてそして、その時のメインのお話は長崎にあるダムの建設計画に対する反対運動だった。
石木ダムという佐世保市のとなりの町で50年以上も前から計画され、しかし住民の粘り強い反対運動でずっと守られてきた
美しい生態系と自然が残る川棚町。いま住民の強制移住というかたちでダム建設が推し進められようとしている。
もちろんその建設理由は50年前の「このままでは佐世保市の水が足りない。洪水のおそれがある。」という理屈が
50年後のいまも引き継がれていて。この50年そういったことは起こっていない。
こうして公共工事のために、美しい自然と人々の営みが不必要に壊されていくことにpatagoniaは社として運動のサポート
をしている。

ぼくが企業がこうした環境活動に加わることは、多くの反対派も生み出すわけでリスクも多いと思う。
けれども「僕らがこの問題をもっと多くの人と共有し考え、行動するお手伝いをしたい」と企業が声をあげられることって
なんだか僕にとって希望だ。なるべく波立たせないやりかた、どうやって金儲けのバランス取りをやろうか、というのが見える
今の経済のなかでこんなことをやってしまいケロッとしているなんて素敵やんか。


とにもかくにも、その時ぼくはpatagonia日本支社の辻井さんのファンとなり、あらためてこの企業とつながり
活動を続けていきたいと思うようになった。
いつかアンバサダーとして活動をともにできるようになることが目標だ。まだサイクリストのアンバサダー登録はない。
誰もいないからもっとおもしろいじゃん。教育に入る僕がこの企業で認められるか。可能性はゼロじゃない。

石木ダムに関するpatagoniaのレポート