「世界」を「身近」なものに。
「違い」を「認め合える」心を。
「情報」ではなく「顔のつながる」世界を。
2012年度から始まった「教室」と「世界」がつながる授業。
対面のときには、子どもたちとの関係性を尊重し、「ひと」と「ひと」として向き合える、
語り合える授業を作ります。
そして海外にいるときには、これまで訪れた世界15カ国以上から、テレビ電話でつなぎ、
リアルな課外授業を行なってきました。この授業を【ちきゅうの教科書】と言います。
情報(インフォメーション)としての世界を学ぶではなく、
いま、そこにある世界をリアルタイムで繋ぐことで伝えたい。
そのなかで、世界の「いま」を感じたり、そこに生きる人との出会いを通して
価値観や考え方の多様性を見つけていって欲しい。
2019年度は全国の小学校4校、中学校1校の総合的な学習として
年間カリキュラムに組み込まれた授業として実施しています。
つなぐ場所はさまざま、現地のお宅に訪問したり、街の中を歩きながら中継したり、
時には現地の学校を訪れ世界の同世代の子どもたちと出会います。
「時差は問題ではないのですか?」
そうですね、時差は問題です。
けれども、日本が朝で、現地が夕方ちょっと遅めぐらいならへっちゃら。
日付だって違うんです。リアルな時差を感じられるのもテレビ電話授業の醍醐味です。
そこがほんとにつながっている世界だと感じてもらうことが重要だと思うんです。
最初はなかなか画面の向こうとのコミュニケーションが上手くいかなかったり、
イマイチ実感が湧きにくかったり、頭で考えていても伝えられなかったり。
それでいいんです。初めての経験なのに、最初から上手くいくことなんてありません。
お互いが緊張しているときに、空気の読めない子(いい子)がポケモンの折り紙を
カメラにかざしたことがありました。その瞬間、現地の子どもが叫びました!
「WAO ! POKEMON !」
そこから急に場が打ち解けて、素晴らしい交流になったこともあります。
キッカケはどこに隠れているか分かりません。何がスイッチなのかも分かりません。
けれど世界が、そこに生きるひとが「世界は違うもの」と思っていたところに、何かしら自分たちの身近に感じる
話題やモノが出てきた時に、なんだかうまく行く気がします。
「世界は意外と違わないかもしれない」
これは僕がこれまで世界を旅して感じてきたことです。
違いを認め合うということは、違って当たり前からスタートすること。
そのなかで自分とおんなじ心を相手に見つけたら、きっと仲良くなれます。
世界であろうが日本であろうが、こうして友達を作るんです。
ひょっとしたら、僕たちオトナのほうが「世界は違うもの」と思い、
それを悪気なく子どもたちに伝えてしまっているのかもしれません。
だから、子どもたちは世界を「こわいとこ」と言ったり、
会ったことも行ったこともない国の人を「きらい」と言ってみたりします。
子どもたちには教えるのではないのです。子どもたちが見出し、行動をはじめる瞬間を
僕たちも一緒に見守っていきませんか?
ありのままの世界を子どもたちに届けるのが「ちきゅうの教科書」です。
【ちきゅうの教科書 令和1年度実施校】
新地町立駒ケ嶺小学校(福島)
八王子市立浅川小学校(東京)
伊勢崎市立北小学校(群馬)
福知山市立昭和小学校(京都)
牟岐町立牟岐中学校(徳島)