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「待つことについて」

 

キューバからすっかり現実モードに戻った自転車旅。

本来ならば、キューバでも充電した思いを、そのまま走る方に使いたいのだけれど。

情けないことに不注意で財布を盗まれてしまった僕は、日本での再発行された

クレジットカードを受け取らないことには旅を再開することができない。

日本から発送されたのが97日、最低でも1週間はかかる。

焦る気持ちもあるけれど、待ちながら今しかできないことを、

今だからできることをやろうか。なんて考えながらこのところの日々を過ごしている。

 

・カンクンの宿ではシェア飯担当

僕はときどき日本人宿と呼ばれるところに泊まる。文字通り宿泊客の多くが日本人。

多くの場合は日本の方がオーナーだけれど、現地の人のこともときどきある。

セキリティ面で安心して滞在したい、旅の情報が欲しい、

日本語が恋しいなどなどで日本人の旅人が多く集まる。

そして、結構こういう宿であるのが【シェア飯】システム。

 

なんのことはない、料理ができる人がいれば、食べたい人を募って人数分の料理を作り、

かかった経費をみんなでシェアするシステム。

ちょうど僕が到着した日に、誰か料理してくれないか?という話になってじゃあやりましょう!

とやることになった。

 

献立を決めて、食材を買い出し、宿に戻って調理開始。

5人前くらいになると下ごしらえと手順をしっかり頭でイメージしておかないとはかどらないし、

何より料理が美味しくなくなる。

炒め物だと火をつけたまま、あれま~!と手が止まってそのままになるか、

いったん火を消すことになると残念なことになる。

せっかくなら美味しいものを食べて欲しいから、集中してやるんだけど、これが楽しい。

なんか毎回がチャレンジみたいでほんまに楽しい。

味見をして、しっかり自分で納得して、

それで美味しい!って言ってもらえたらほんまにやって良かったと思う。

 

反面。せっかく作って出来上がったのに、なかなか人が集まらない、

スマホ見たり、本読みしたりしてるヤツらがいると、

なんのためにおれ集中してここまで来てんねん!と頭をハタキに行きたくなる。

ほんま自分で料理するようになって思う。オカンは偉大だ。

 

4日ほどシェア飯やったのでメニューだけ紹介。

Day1豚の生姜焼き&お味噌汁

Day2麻婆豆腐&トマトと玉子の中華炒め&キュウリのピリ辛ニンニク風味

Day3釣った魚の炊き込みご飯&豚汁

Day4カツカレー&サラダ

 

前回の旅ではバンクーバーのステイ先で10人前イメージして作っていたこともあるし、

リクエストを募ってメニューを考えて、料理するのって、どこか自転車旅に似ている。

 

目標を設定して、はじめると想定していないことも起こってくるけど、

それをうまく受け入れながらゴールに向けて進んでいく。終わったあとの達成感。

大袈裟かw

 

 

・今まで行かないようなところに行く

僕は普段あんまり島を旅しない。

キューバはすんごく行きたかったからどうしてもルートに組み込んだけれど、

やはり島をめぐっていると、良くも悪くもいいとこ取りができず、

一筆書きのルートしか選べない自転車では先に進まなくなってしまう。

けど今回は日本からの荷物待ちの状況で、思い切ってリゾートで賑わうコスメル島という

ところに渡ることにした。

 

豪華クルーズ船がたくさん停泊し、街にはカップルが溢れ、ひとりの僕は

レストランの客引きには声もかけてもらえない。

こんなアウェイな状況でどうやって過ごすのだ!?

と心配することもなくすっかり居心地よくやっている。

 

静かで自然に囲まれた宿。2分も歩けば海に出て潜ることができる。

ちょっと自転車を走らせれば、サンゴ礁と熱帯魚を楽しみながらシュノーケリングでき、

カンクンの宿から借りてきた釣竿で釣りをしてみれば、びっくりするくらい簡単に釣れた。

 

ほどよい暑さと、泳いだ疲れとにひたりながら宿に戻って、釣れた魚を料理して食べる。

こんなシンプルな1日がほんとに心地良い。

 

明日はどんな魚が見られるかなー!どんなが釣れるかなー!なんて考えながら夜を過ごす。

子どもの頃の夏休みってこんな感じやったんやろうか。

あのちょっと暇で、いいことないかなー、となんとなく過ごしていて、

友達が誘いに来てくれたり、家族がどっか行くぞ!と声をかけてくれたときの、

目の前にサッとイメージが広がってワクワクが止まらなくなるような、そんな感覚をふと思い出した。

 

 

 

旅をしていても、日本で日常を生きていても。

やっぱり思い通りには行かないし、自分でなんともならないこともある。

僕の旅であれば、天気、道路状況、起こった出来事など。

目の前にある状況も、起こってしまったことも変えられないから、

それをどう自分で噛み砕いて「悪いもの」にしないかというのは少しポイントだと思う。

 

キューバで財布を盗まれたときもそう。

盗んだ人のこと、自分の不注意のこと、これから先の旅のこと。

いくらでもマイナスのイメージは浮かんでくるのだけれど、

それで心をいっぱいにしてしまうと、かえってそっちに引っ張られてしまうような気がした。

 

だから、まずは自分のミスを受け入れること。盗んだ人のことは意識しない。

頭のなかでやらないといけないこと、これからの手続きや連絡をシミュレーション。

そこまでできたら、あとは自分では動かしようのないことばかりだから、

手続きをふみながら、あとは日常を楽しまないともったいない。

 

結局は自分次第だ。起こったことを良くとるも悪くとるもそう。

自分が受け入れる余裕があっても、なくても。見えていても、見えていなくても。

 

どんな状況だったとしても、世界には変わらず美しいものがたくさんある。

それだけは事実だ。